商談と後出しジャンケンとアンテナ

私がその昔に仕事上のお付き合いをしていたOA機器販売メーカーの営業マンに後出しジャンケンが非常に上手な営業主任さんがいらっしゃいました。

普通のグーチョキパーのジャンケンでしたらそりゃ相手の手を見てから出したら100%勝利することになるわけですけど、営業活動の場合ですと競合成功率80%くらいとかなるようですね。

ただ先に問題点を書いておきますと、この後出しジャンケン営業ってのは、他の会社の商談に後から割り込んでいってより有利な具体的にはより安くとか、より手厚いサポートでの販売になりますから、粗利率などの面では少々厳しいところが出てきてしまうようです。

さて件の後出しジャンケン営業マンの事を書き進めますと、OA機器販売の営業マンで主たる商材はコピーやパソコンや各種事務機器などですけど、別に押しが強いタイプでもないですしごく普通の方なんですけど、とにかく自分のテリトリー内のターゲットユーザー及び既存客を実にマメによく巡回していたようです。

で一回の営業巡回での訪問先での滞在時間は実に短くて、お客にとって有益な資料や情報を口頭や印刷した形でおいてくるだけ、相手から水を向けられる事がなければ自分から営業トークを出すわけでもないし、何というか表現すれば訪問先の仕事を極力邪魔をしないように気を使って、それでいて提供できる有益な情報はおいてきましょうみたいな姿勢です。

たぶん彼は自分から見込み客を作り出すといいますか、何の検討もしていなかった商品を売り込むことによって相手の購買心を引っ張りだすみたいな事はしないで、一件一件の短い滞在時間を武器に、ひたすら広く浅く巡回する営業スタイルではなかったかと思います。

まぁこの営業スタイルですと即効性は一切ありませんし、たぶん売上目標に数字が足りない時に追い込むみたいな事も出来なかったんでしょうけど、それでも犬も歩けば棒に当たるとでも表現すれば良いのでしょうか、買うか買わないか分からないけどちょっと興味があるから、あの営業マンに聞いてみようなんて事も出てくると思います。

でね、同じ客先に営業訪問して需要を喚起するライバル商社さんが出てくるのでありまして、そういう動きがあった時には必ず普段からひたすら情報を出している営業マンにも声がかかるのは必然ですよね。

で、商談が具体的な形になってきたらお客から声がかかって商談に入り込めるんですから、自動的に後出しジャンケン的な営業スタイルになるわけです。