消費者教育と営業努力

良いもの、品質の高いもの、正真正銘の本物を市場に出せば必ず売れるかというと現実は違っていて、単に広告宣伝が上手なだけの品質的には本物とは比べ物にならないような商品のほうが市場シェアを取ってしまう事が良くあります。

そりゃ商品・製品やサービスなんてものは実際買ってみて自分で使ってみないと良し悪しはわからないんですから当たり前の話なんですけど、ここで良いもの・本物を作って売っている経営者さんは考えちゃうんですね。

せっかく高品質な本物な良い品を出しているのに中々売れない、これは消費者のレベルが低いからでだから宣伝広告なんかに踊らされてうちの製品よりも質も中身もかなわないような製品なんか買ってしまうんだ、売上を長期的に拡大していくにはやっぱり我が社が消費者を教育して本物を見分けられるようにしなくちゃだめだなんてね。

商売人が売れない原因を分析して対策を講じるってのは非常に大切な事なんですけど、消費者のレベルが低いから教育しなくちゃなんて発想は少し違うのではないでしょうか?

確かにメーカーなどでは商品や製品に対する正しい知識を付けてもらうための啓蒙活動も必要だとは思いますけど、そういった類のことは先ず販売拡大ありきの考えからってのはおかしいような気がしますし、商売人として必要なのは自社のファンを作っていくみたいな感じで、上から目線での教育じゃないんですね。

ところが中には何を勘違いしたんだか、お客なんて何にも知らないんだからちゃんと教育してあげるよみたいな上から目線戦略に走ってしまう企業ですとか、口には出さなくても何となく営業マンの口ぶりからお客を見下すような気持ちが透かし見る事が出来るような場合があったりするわけですよ。

私の数少ない経験から言えることは、まず売上拡大のためにお客を教育するにしても、そんなものは少なくとも数年はかかってしまうような長期的な取り組みが必要な場合が多いですし、短期的な売上対策にはならない場合が多いのですよ。

でしたら短期的な売上対策と消費者教育を切り分けて考えまして、何と言いますか売れている同様な商品があれば真似しちゃうのもひとつの手ですし、とにかく営業努力とか販売戦略の世界にはお客の教育とか啓蒙活動みたいなものは持ち込まないで、別の道として長期的に取り組むべき道だと思うのです。

私の知る限りではお客の教育なんてのはある程度売上が安定して出せる目処が付いてからやるもので、それが営業販売戦略の中心に据えてしまった売上が伸びた事例を知らないのです。