マイクロソフト社アップデートによるデータ消失にみる企業の立ち位置
今このコラムを書いている現在、Windows 10をアップデート(October 2018 Update)したらユーザーのデーターが勝手に削除される現象が起きているようで、アップデーファイルの公開を中止するという事態になっています。
さて演芸の世界では黒子といわれる裏方さんの存在がありまして、人目に触れることなく目立たない存在に徹することで舞台を成り立たせているわけですから、勘違いした黒子が出てきて自分の存在価値を世間にアピールしようとしたら、演芸そのものが失敗してしまう事になってしまうわけです。
さて話をOS(オペレーティングシステム)Windowsに戻しますと、私がコンピュータの世界に入った頃はまだWindowsが登場する前で、マイクロソフト社のOSと出会ったのはMS-DOSと呼ばれるものでした。
そして当時のOSが黒子に徹したからパソコン(当時はマイコンと呼ばれていた気がします)が飛躍的に普及しました。
つまりMS-DOSというOSが黒子に徹していたから、ワープロでしたら一太郎とか表計算でしたらロータスとかデータベースで桐とかアシストシリーズという安価なソフトも有りましたし、ペイントショップといったドロー系のソフトも普及いたしました。
もしそのままマイクロソフト社がOSは黒子に徹する考えを持っていたならば、色々なIT企業がもっと便利なパッケージソフトを開発していたと推測していますが、欲を出したマイクロソフトがワードやエクセルなどのビジネスソフトに手を出して、OSを作っている優位性を利用してトップシェアを奪った結果、見てくれだけは良くなるけど使いやすさは逆に退化していると言われてしまうような状況になってしまっていますし、参入を阻害しているようで画期的な新しいソフトが出てこなくなってしまったと思います。
自社だけが儲かれば業界がどうなろうと構わないという考えも否定はしませんが、自社が取るべき立ち位置を意識していない企業は長期的な成長は望めないと思います。
立ち位置が曖昧だと全部おかしくなります。
Windows10でアップデートしたらデーターを勝手に消された事が騒ぎになっていますが、やはり立ち位置を明確にして注力すべき事業に十分なリソースをつぎ込めて居ないために、メイン事業まで雑になってしまったのだと思います。
過去の企業運営において様々な企業が手を広げて自滅するを繰り返してきましたが、まず自社の立ち位置を明確にする必要がある企業が少なくないと思うのです。
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