人事査定と感情と出世術

私がサラリーマン時代の話ですけど管理職(営業所の所長)になって増えた仕事のひとつに部下の人事査定がありました。

仕組みとしては夏と冬の賞与査定(いわゆるボーナス)を行ってその結果が賞与の支給額ですとか昇給に反映してきまして、部署間の不公平やアンバランスを防ぐために部門長が行うのは会社が設定した各項目に対する5段階評価による絶対評価で、最終的にはいくつかの部署を束ねる取締役クラスが相対評価による調整が加わって最終的な人事評価になっていました。

一応その査定は項目ごとの絶対評価ですし、査定される本人の経済的な面や場合によっては将来を左右するわけですから、当然ですけど私的感情を持ち込まないように心がけていましたけど、その絶対評価に関する各項目と設定が曖昧で苦労するんですよね。
(営業マンの場合、売り上げ実績数字に関する査定は別項目で存在しているので、数字とは関係なしに査定する項目になります)

例えば査定項目の一つに仕事に対する意欲や向上心について五段階評価を入れるなんて項目があるのですけど、これってイタコの口寄せをするお婆さんでしたら本人の心の中を見通して向上心や意欲を計り知ることが出来るんですけど、なかなか表に表れない項目ってのが難しいんでありまして、今にして振り返ってみればひねくれた形の個人的な感情が入って査定していた可能性もあるわけです。

いつも元気に挨拶をして声が大きくて自分の意見をはっきり言うなんて部下の社員がいたとしましょう、なんといいますかちょっと見ただけでしたら元気があるイコールやる気があるなんて単純な方程式になってしまうんですけど本当にそれじゃ駄目だと思うのですよ。

ま私自身も営業畑出身の営業マンだから分かるんですけど、演出といいますか肝心な見せ場といいますか、要は好印象を与えるべく要の部分をしっかり押さえているだけで、実は心の中では別の今度の休みには何をして遊ぼうかなんて考えていたり、その場での要領だけ上手で実際に向上心は他人より劣っていたりなんて場合もあると思うのですよ。

逆に秘めたる闘志といいますか決して大言壮語を吐かず、やる気があっても結果が勝負とばかりに人知れず勉強したり努力している人ってのは注意深く観察していれば判る場合もありますけど、結構過小評価されちゃっている場合も有るのではないでしょうかね?

その人事評価に感情を持ち込むことはご法度って事に建前上はなっている企業が多いとは思いますけど、私自身の経験から言えば単純だったり複雑だったりする感情が、程度の差こそあれ必ず存在しているのが現実だと思うのですよね。

ただ誤解なきよう書いておきますけど、所詮は人が集まって組織を作っているわけですから感情を完全に否定することはナンセンスだと思いますし、人事査定に絡む感情もあってこその組織じゃないかなって思うわけです。

このあたりは上司の傾向と対策じゃないですけど出世術にもつながってくる話だと思うのです。