製造コストと人件費の問題と労働集約産業

一般的には製造業と言われる工業製品の生産分野で人件費の事がクローズアップされたり、人件費の安い発展途上国に移転するなんて話が出てくるのはもっぱら生産設備をもった工場の話になるんですけど、たぶんその手の人件費の話の中心は今後、違う分野に移っていくと思うのです。

私も仕事で工場を持っている企業さんともお付き合いが有りますが、御存知の通り生産現場では機械化がどんどん進みまして設計から生産設備まで電子データで情報が行き交いまして、情報を元に機械が均一な製品を休みなく生産してくれますから、毎年の生産設備の進化によって製品に占める人件費の割合は非常に低くなってきているわけですよ。

例えば車一台を組み立てる生産ラインに40年前は500人必要だったのが今では半分の250人になって、熟練を要する作業なんかも50人は従事していたのが10人もいれば他は機械が高品質な製品を生み出してくれるって感じですね。

まぁその生産設備や自動生産を担っている機械の多くは日本製でそっちで雇用を生み出してくれれば雇用の減少も緩和されて良いのですけど、どうもその生産設備じたいが日本から海外に輸出されまして、気がついたら日本国内じゃなくても発展途上国でも国産と違いが無い製品が生産できるようになんて来てしまったので、どうも難しいところです。

さて話を本題に戻しますが製造現場において生産コストに占める人件費の割合は毎年下がって来ますから、今後は労働集約産業・サービス業の分野に人件費の問題が拡大してくるでしょうね。

思い起こせば日本に外食産業が海外から入ってきましてファーストフードなんて呼ばれ方をしていますが、この手のお店ってのは調理から始まって接客に至るまでが全部、微に入り細に入りマニュアル化されていまして、時給700円の高校生でもマニュアルを勉強すれば立派な店員さんになれます。

その結果が全国にファーストフード店を始めとした外食産業チェーン店の拡大とアルバイト市場の拡大なんですけど、まぁこっちの方も人件費の削減は十分すぎるほど進んできていますから、残るは知的生産部門でしょうね。

こっちの方はなかなか人件費にスポットが当たることはなく、日本国内の雇用や技術の蓄積や伝授が行われてきた分野なので有りますけど、どうもですね安倍政権の過剰な市場開放とか経営者のアメリカかぶれなんて状況を見ていますと、こっちのほうも技術は買ってきて使えばいいなんて考えてしまう経営者が増えてきてしまうような感じなのでありまして、やがて知的生産の分野にまで人件費の問題が出てきてしまいそうなのです。