バランス営業と営業効率の問題

年をとると昔話が多くなってしまうわけですけど今回も私が会社勤めの営業マンだった頃の話です。

当時の私はとあるコンピュータシステムソフトの販売に従事していまして、直接エンドユーザーに販売する直販と地域のOA機器販売店を経由して販売する代理店販売の比率は概ね半々だったと思います。

私の担当地域はとある県をまるまる担当していまして端から端までの移動には4時間以上かかる広大な地域を担当していたわけですけど、なにせ営業活動中の移動時間ほど無駄な時間は有りませんいから、極力移動時間を短縮すべく活動範囲を絞り込んで営業活動を行いまして、自慢じゃないですけど毎月きっちりと優秀な営業成績を残していたものです。

具体的に書きますと直販するエリアは会社の事務所から2時間以内で移動できる範囲の圏内の三割程度以外は切り捨てまして、それ以外の地域に足を伸ばすのは引き合いが有った時だけで見積もり金額も割高な金額で提示、代理店販売についても販売力のある代理店時は頻繁に顔を出して営業支援するけれど、年に一件くらいしか情報が来ないような代理店には年に数回しか顔を出さないような行動を取っていました。

まぁこんな感じで見る人によっては極端にアンバランスな営業活動を行なっていまして、結果は良好で順調に毎月の売上目標を達成していたのですけど、そんな営業方針と言いますか営業活動に対してある日のこと上司の追求が入りまして衝突した思い出があります。

今になって思い返せば上司の気持ちは理解できるのですけど、「直販をしている地域が県内の半分以下なんだけど他の地域はどうなっているんだ?」「ここの古くからの代理店さんの販売実績が低迷しているけど何が原因なんだ?」とかまぁ追求されるわけですよ。

今にして思えば適当に嘘でもついて頑張っているんだけど実績が出ないとかお茶を濁しておけば良かったと思うんですけど、なにせ毎月優秀な営業成績を出していましたから、答え一発「はい営業効率を考えてそこは切り捨てています」ってね。

当然ながら上司は予想しない答えが返ってきて顔色を変えたわけですけど、最終的にはその地域を任せるって事で私を担当者に任命して、数字も安定していましたので渋々ながら私の意見を肯定したのですけど、今私が経営者になって会社の将来とか色々考えると、あまりにバランスを欠いた営業活動は危険をはらんでいるんですよね。

例えば私が得意としている地域にライバル他社が安値大攻勢をかけてきた場合ですとか、頼りにしていた有力代理店がライバル他社に寝返った場合なんかを考えると目も当てられない結果が簡単に予想できますからね。

そんなわけで営業効率一辺倒よりも少しはバランスを考えた営業活動が必要だなって思うようになったのは、私が年をとったからでしょうかね?