管理職の育成と組織のピラミッド構造
名選手が必ずしも名監督になれないって言い伝えが有りますけど営業の世界ではどうでしょうかね?
私の持論としては成績優秀な営業マンは管理職に昇進してもマネジメントにも高い能力を発揮するのが普通だと思っています。
何故ならば選手と監督では必要とする能力や技量が全く違うわけですけど、営業の仕事ってのは赤の他人と接して物を買ってもらったり自分の意志を伝えて相手を動かしたりするのが営業マンの仕事なんですから、相手がお客と部下とでは状況が違う面もありますけど、根本的に言動で他人の行動に影響を与えるって事には変わりがないわけです。
ですから私の知る限りの話ですけど現場を回る営業社員から管理職に昇格して全く機能しなくなってしまう人は非常に稀ですし、なにしろ自分に商品を販売するノウハウも人脈も持っているんですから成績不良の営業マンを助けることだって、元優秀な営業マンだからこそ出来るわけです。
が、しかしですね実際に管理職に昇格して部下を持つようになって個人の売上目標から、部門の営業目標を追いかけるようになって部下を指導する立場になったら、思うように実績を出せないとか、仕事に自身がなくなってしまったなんて人が非常に多いのも又、現実ですよね。
これは自分自身が営業現場で数字を作ってくる直接営業から、部下を動かし指導して売上を追いかける間接営業に代わったことについていっていないってのが原因ですが、経済成長の時代からデフレの時代になって今までの管理職のやり方が通じない場合が出てきたなんて原因も有りますけど、長年積み上げて維持していたはずの組織のピラミッド構造の維持が甘くなってきのも大きな原因の一つだと思います。
具体的な事象を書きますと能力主義の掛け声によって能力が認められた人は勤続年数に関わらずスピード昇進する(代わりに降格もスピード決定されますが)、無駄な中間管理職を省いて組織をフラットにしたり役職を減らすとか従来の日本型経営の基本を変えていくような動きのことです。
つまり管理職の育成がうまく行っている企業の多くは、まず平社員からいきなり管理職になるんじゃなくて先ずは主任とか管理職の心得的なポジションで係長の補佐を何年もしながら次のステップに向けてのスキルを上げていって、係長、課長、部長職と階段を登りながら現場の営業社員から徐々に管理職に時間をかけて変身していく余裕があったんですよ。
それがね平社員で成績が良ければいきなり係長なんて能力主義なんて導入したら、やっぱり管理職は育たないと思うのですよ。