右肩下がり経済

私も20年以上の長きにわたって営業マンですとか営業責任者ですとか社長を務めていますが、過去は終始一貫して右肩上がりが基本で営業マンの売上目標の設定は前年度の実績に対して何パーセント上乗せするかが問題でしたし、会社の売上目標も全く同じに右肩上がりを前提に考えておりまして、目標設定とか予算を考える段階で前年割れの右肩下がりで計画することなんて考えられなかったのですが、最近は少々様子が違ってきているように思います。

もちろん昇給も必要ですし何もしなくても何故か企業の経費は増大致しまして増えてしまうのでは有りますが、そもそもこれから人口が減少に転じるわけですし労働者の平均収入も下がっている現実が有りますので、手堅く会社の経営を考えるのであれば営業マンの売上目標は別に致しまして、会社の予算計画は時には右肩下がりを念頭に考える必要が出てくるのかもしれないですよね。

しかし日本ではと言いますか多分世界でも右肩下がりの経済を経験した人はいないと思うのでありまして、考えてみれば右肩上がりを前提に考える場合は単純に伸び率を5%とか10%とかにある意味適当に設定して、その売上や利益を達成する為に営業マン別に目標を設定したり、商品別に売上予測を立てれば経費とか損益分岐は気にしなくても必ず経常利益がプラスになる形で算出されたのですけど、逆の右肩下がりの場合はそんなに簡単にはいきませんよね?

まず確実に考えて市場の縮小を考えて売上を5%ダウンで試算したと致しましたら、単純に粗利率は一緒で売上だけがダウンするのでしたら粗利益も5%のダウンで済むのかもしれませんが、値引きを伴うとか販売数量の減少で粗利率までダウンしてしまうことも珍しくなくて、一気に粗利益が数十パーセント落ちてしまうことも有りますよね。

そうなりますと販売促進費とか交際費とか通信費とかありとあらゆる経費をチェックして削減出来るところが無いか考えなくてはいけませんし、最悪の場合に備えて人件費にメスを入れる所まで考えなくてはいけないかもしれません。

もちろんこれは最初から前年度を上回る売上を確保出来ない場合に備えた、石橋を叩いて渡る感じの経営計画なので有りまして結果は前年度を大きくオーバーした実績を残せれば、まさに嬉しい誤算になるわけです。

sかしながら現在の状況を冷静に考えますと、一応は右肩下がり経済を頭の片隅に置いて経営を考えた方がより堅実な会社運営が出来ると思うのです。