住宅不況考
2009年は大変な不況が世界中を席巻しているようですが、中でも自動車と不動産に関しては裾野が広いので政府は何とか支援して、需要を回復させようとしているようなのでありまして、中でも個人向けの住宅建築市場は誰が言い出したのか、景気浮揚効果が大きいって事で、後先考えないで直ぐに住宅取得減税とか始まってしまうのですよね。
私が思うには日本における住宅ローンと建築物そのものの大問題を解決すれば住宅なんて多くの日本人が無理しても購入したり新築するようになると思うのですよね。
まず一つは住宅の質の問題で有りまして、土地の値段が上昇していた頃は全く問題にされて居ませんでしたが、例えば土地付き一戸建て住宅を新築で購入致しまして、15年も経てば建築物の資産価値はもの凄く、時にゼロに近いほど下がってしまって、売却しようとしても半値以下なんて事は珍しくも何とも無いのでありまして、それを放置してきたのは、日本人が寛大であったからなのか、政治的な力が働いたのか、担保査定能力のない銀行を始めとした金融機関の問題なのか真相は不明ですが、とにかく住宅の質の問題は大きいでしょうね。
※高温多湿の日本ですから多少は住宅の耐久性に不利な部分もあるのかもしれないのですが、日本より気象条件の厳しい地域でも、日本ほど早く住宅の資産価値が減少してしまう先進国は少ないのでは無いでしょうか?
住宅ローンに関しても私が感じるのは担保設定ってのは、住宅価格(資産価値)は住んだ瞬間からどんどん下落するって銀行が分かっていますから、もう連帯保証人をつけて、もし住宅ローンの支払いが少しでも滞ったら、住宅は競売にかけて現金を返済に充てて、それでも多くの借金が残る事は珍しくありませんから、住宅を失っても徹底的に残金を取り立てますし保証人からも容赦ないのが日本の銀行の姿勢なのですよね。
※別のコラムで書きましたがアメリカでは普通、住宅ローンはノンリコースローンと言われる、返済が難しくなったら不動産を手放せばそれで全てチャラになる住宅ローンで、その分だけ貸し手側の担保査定能力が問われますし、そもそも直ぐに資産価値が無くなってしまうような住宅を供給していますと融資が下りませんから、ちゃんとした住宅が供給されるようになるのですよね。
ですから今の日本で、高額のローンを組んでまで住宅を購入するってのは非常にリスキーに感じてしまうので有りまして、中古物件の価格もこなれてきましたので、新築を買うメリットは薄いと思うのですよね。
個人的にはこのあたりの問題を改善しない限り、不動産不況は抜け出す事が出来ないと思いますね。