嗜好の地域差とフランチャイズ展開の失敗の原因
即席ラーメンって言い方は最近あまりしなくなりましたけど、赤いキツネに代表されるカップうどんなどは関西と関東と汁の味付け変更しているわけですけど、好みの違いがはっきりしている食の世界以外にも地域による嗜好の違いがあって、単純に特定の地域で販売好調だから勢いに乗じて全国販売に乗り出したら必ず売れるって保証は無いわけですよね。
電化製品のように50ヘルツと60ヘルツと供給される電気の周波数が違う場合なんかでしたら非常に分かりやすいわけですけど、これがアパレル産業(小売店)みたいな業界の場合でしたら地域による好みの差のほかにもっと販売量を左右する地域差も存在しています。
例えば都心部では高級服が販売の主流になったかと思うと、ベットタウンのような地域ではカジュアルなものが一番売れて、農村部になると作業着とか雨合羽なんかをしっかり取り揃える品揃えにしないとお客さんが来てくれなかったり致します。
まぁ飲食関係も地方によって違う嗜好以外にもオフィス街だとヘルシー嗜好でガテン系の労働者が多いような街道沿いのお店なんかでしたら、濃い目の味付けでしっかりしたボリュームを出さないと他店にお客が流れてしまったり致しますね。
他にも主には小売店の世界で電化製品もホームセンターも日本って一応は単一民族で統一の言語を使っている割に、消費者の嗜好には微妙だったり大きな地域差が存在するんですよね。
この辺りを理解していないんだか知っているけどそんな事は一切無視して、この品揃えで価格設定で直営店としてこんなに成功して販売実績を出して、今度は全国展開だって事でフランチャイズ参加オーナーを集めて、各地に出店したのは良いけれど、加盟したフランチャイズ店は赤字店舗の続出で失敗に終わりましたなんて例も少なくないのではないでしょうか?
そもそも小売店なんてのは成否を分ける一番大きい要素がロケーション(立地条件)で、一時期は随分と派手に加盟店を集めていた判子(印鑑)の小売チェーン店が数年前に本部が倒産しちゃったり、コロッケのコロちゃんなんて何をトチ狂ったのかコロッケの販売だけで全国展開に果敢に挑戦してあっけなく敗れ去った例なんてのも有りますけど、まず根本的に事前調査や分析が全くなされてないのが原因で、単純に成功例を他の地域で同じようにすれば大丈夫って単純な発想なんですよね。
かくしてフランチャイズチェーンに加盟したオーナーさんは絵に描いたもちをついに手にすることは無く、本部は加盟店の取り組みが不十分だからなんて自らの責任は一切認めないで、双方の不信感が関係悪化を生み出して悪循環なんてのがいまでも全国で展開されているわけです。
確かにいまの経済状況とか市場の状況から言って個人で一から独立するよりもフランチャイズチェーンに加盟したほうが成功率は高いのでしょうけど、それでも本部選びで失敗すると取り返しが付きません。
ですから説明会などでは単に良い話だけを聞いて勝手に夢を膨らませるんじゃなくて、否定的な目で色々と確認して見極めましょうね。