黒字化の正体

経済の原則と致しまして赤字経営が続いていますと、内部留保ですとか資本を取崩したり銀行からの借入つまり借金が増えたり致しまして、大企業であってもやがて資金繰りが行き詰まりまして倒産してしまったり、身売りしたり支援企業を探さなくてはいけない事態に発展致しますから、経営者または経営陣と致しましてはあらゆる方策を考えて企業の黒字化を目指すのでありますが、今回のコラムではそんな黒字化の正体について考えてみたいと思います。

さて、その黒字化ですが一番良いのは売上が損益分岐点を超えるだけ伸びて赤字状態から脱却する事なのですが、今のご時世ではそう簡単に売上を伸ばすとか出来ませんから、支出を減らすとか経費を削減するとか縮小均衡を考えるって場合が多いのでは無いでしょうかね?

赤字部門を閉鎖するってのは良く有る話ですし、仕入原価を下げて利益率の改善を図るとか正社員の比率を下げてパート社員や非正規社員の雇用で人件費を流動化して、人件費を削減するとかこの手の事は多くの企業が実行しているのではないかと思います。

経済学者ですとか経営コンサルタントの先生に言わせれば経営者は会社を黒字化するのに当たり前のことをやっているに過ぎないって事になるのでしょうけど、どうも人件費の削減は従業員に赤字分を負担させているような感じがしますし、仕入原価の低減に関しても場合によっては品質の低下であったり、下請け企業が下げた金額分の損失を引き受けているような気がしないのでも無いですね。

ですので私が思うに決算発表やIR情報の公開の時に、新製品の投入などで売上が伸びて黒字化を達成したのであれば経営者は胸を張って発表すれば良いと思いますが、従業員の人件費を削減したとか下請け企業に無理を言って納入価格を下げて貰った結果での黒字化でしたら胸は張れないと思いますし、ご協力頂きました関係各所にまずは感謝の気持が必要だと思いますね。

それと縮小均衡で黒字化を達成したとか人件費を削減して黒字になったって場合ですが、仕入原価の削減にも同じことが言えますが直ぐに限界が来てしまうって事でしょうね。

なにせ無料で働いてくれるボランティアがいるわけも無いですし、仕入原価だって無理を言えばいくらでも下がる訳も無いですし、直ぐに限界が来てしまうのは当然ですよね。

売上を伸ばすって場合はある意味いくらでも伸ばせる余地が有ると思うのですが、マイナスで黒字にするって事は一回限りの方法かもしれないって事を心するべきではないかと思っているのです。

もちろん、原価を下げて販売価格を下げて価格競争力を高めて売上を伸ばすって複合技も多いですけどね。