営業小話
昔聞いたとか読んだ話なのでうろ覚えの部分も多いのですけど今回のコラムでは営業小話(小噺)について書いてみたいと思います。
似たようなコンセプトの話を二つ書きます。
とある未開の地に靴を販売するセールスマンが二人でやってくることから話は始まります。
片方のセールスマン曰く『見ろ!現地人の足の裏は靴底よりも厚いじゃないか、これじゃこの地域で売れるわけは無い、他に行こう』
すると片割れのもう一人の営業マンはニコニコしながら『おい、ここの現地人は誰も靴を履いていないじゃないか!こりゃ素晴らしい市場を見つけたもんだ』
ここでお話は終わりです。
もうひとつの話は確か二人の冷蔵庫のセールスマンが極寒の地にやってくることから話は始まります。以下省略します。
さてこの靴のセールスマンがその後どうしたかについてまったく触れていなくて、一人だけ現地に残って片割れは他の市場を目指して移動したのか二人でセールス活動を行ったかについても不明ですし、何より気になるのが仮にね現地に滞在して靴の実演販売でもしたのでしょうけど、果たして満足のいく販売実績が残せたのかどうか、ご想像に任せますって感じなんですよね。
実は二つ目の冷蔵庫のセールスマンの話は実話に近いそうで実際に売れたんだそうです。
理由としては極寒の地ですから表に食品を出しておけばコチコチに凍り付いてしまって食べられなくなるし、食品保存に適した温度が室内では保てないので売れたんだそうですけど、これも果たして真相のほどは今になっては分かりませんね。
話を最初の靴のセールスマンの小噺に戻しますと、私だったらたぶんこんな地域では売れないと判断して、将来どこかの会社が市場開拓に成功したらおこぼれを狙う形で参入しようかなって感じですね。
これは私が資金力に問題がある零細企業を経営しているから思うのかもしれませんけど、足の裏が靴底よりも厚い現地の人に買ってもらうには地道に実演販売をやるとか、夜中にこっそり現地人の家の前に画鋲をばら撒いておいて、翌日の午後に訪問販売に訪れるとか、現地の有力者に賄賂を渡すとか、そりゃ販売を成功させるための方法は色々考え付きますけど、時間といろいろな意味でリスクが付きまとうんですよね。
確かにだれも参入していない未開拓の市場で販売に成功すれば先行者利益といいますか、現地人が全員購入したとすれば結構な売り上げが見込めるのかもしれませんけど、資金が無限にあるわけじゃなし確実に売れるって確信が持てない限りは倒産のリスクをわざわざ自分で背負い込む気にはなれないですね。
それにねぇ、靴も履いていないような現地人ってそもそも靴を買う現金とか持っているんでしょうかね?
もし私がセールスマンの上司だったら報告を受けたら即座に販売地域の変更を命令しますね。