消えた営業渡り鳥

かれこれ二十年以上前には営業渡り鳥ってのが生息していました。

当時は今よりもずっと景気が良くて特に営業に携わる人の確保が難しくて中でも訪問販売系の会社ってのは、多くの人が嫌がる一般家庭をドアトゥドアで訪問して商品を販売するわけですから、とにかく求人に苦労していてそれは企業の存続に係わることでした。

ですからそんな訪問販売系の営業職の求人は高率の歩合給に始まりまして、初任給もかなり高くて当時で初任給は年齢に関わらず一律20万円なんてのは普通でしたし、入社して三ヶ月間は売上実績に関係なく月給20万円保証なんて感じで、相当にお金の面で優遇しないとおいそれと営業マンが集まらない時代に件の営業渡り鳥が生息できていたわけです。

彼らは売上に関係なく初任給は三ヶ月とか20万円保証しますから営業になりませんかみたいな会社を専門に渡り歩いている人たちでして、概ね自分を売り込むのだけは上手だったみたいですけど、まじめにコツコツと営業の仕事に取り組むのが嫌いで、暫く働いてみてちょっと実績が出なかったり嫌なことがあると直ぐに退職して、それこそ山ほどある営業の求人の中から条件のよさ気な所に潜り込む事を繰り返していました。

まぁ履歴書をまともに作ったらとても一枚の履歴書や職務経歴書では足りないようなとんでもない膨大なものが出来てしまったんじゃないかと思いますけど、多分彼らは都合のいいように事実をねじ曲げた履歴書や職務経歴書を作っていましたし、採用する人事の方もとにかく営業マンの頭数を揃えなくちゃいけないのが最優先事項ですから、履歴者や職務経歴書の詳細を事実かどうか確認するなんて事はしませんでしたし、そもそもそんな事実を確認するためには調査会社に大金を支払って長期間に調査期間が必要でしたから現実には無理なんですよね。

でまぁ実数は一切わかりませんけど結構な数の営業渡り鳥みたいな人があちこちの営業現場を渡り歩いていたわけで、訪問販売の営業現場でではたぶん営業未経験ではいってからずっとこの会社で営業していますみたいな人よりも、営業経験が3社とか実際には10社以上を渡り歩いているみたいな人が多かったようです。

そんな営業渡り鳥な人ですけど転職を繰り返すうちに水の合う居心地の良い会社に定着したり、ついには営業職から足を洗って別の職種につくなど将来は様々なんでしょうけど、気がついたらすっかりそんな営業渡り鳥な人が激減してしまいまして、これもやっぱり景気の影響なんでしょうね。