内職と下請法

日本国内では不景気の煽りですとか工場の海外移転ですとか、安い製品の海外からの流入ですとか様々な要素によって内職の仕事は激減しているようですし、仕事が有っても工賃の低下とか仕事量の激減ですとか厳しい状況になっていると思います。

内職の場合は発注者との間に雇用関係は有りませんから、仕事が無くなっても失業保険が出るわけでも有りませんし何の保障もありませんし、法律的にも守ってくれるのは下請法以外に見当たらない心もとない状況ですよね。

しかもその下請法とは正式には下請代金遅延防止法で代金の遅延に関する規制が主で、発注前の工賃ダウンなどの一方的な通告には無力なのですよね。

さて日本の工業製品の輸出が今よりももっと活発で中小企業や零細企業も元気だった頃には内職事情も随分と良くて、電子部品のハンダ付けですとか特殊加工など一部の技術を要する内職に関しては工賃も高くて、内職だけも生計を立てる事が出来た人も結構いらっしゃったと聞いています。

それが円高になったり工業化が更に進んで生産設備の性能がアップしたり、国内で内職を使って製品を作るよりも海外で作った方が安上がりだって事になってきてしまって内職の仕事自体が減少の一途を辿ることになってしまったようなのですが、そのせいか内職者を守る法律は未整備のままになってしまっているような気が致します。

もちろん発注者側にしてもコスト削減しないと製品は競争力を失ってしまいますのでコスト削減に必死なのでしょうけど、国内労働者の生活水準が上がらない限り国内景気の回復は無理だと思うのですけどね。

確か昨年末に某大手自動車メーカーが今後三年間で部品の調達コストを三割削減するとの発表が有りましたが、そりゃま無駄を排除して削減出来る部分も有るでしょうけど、日本を代表する企業が率先してそのような行動に出てしまったら、下請け企業から末端の内職従事者までどれだけ大変な事になるのか想像も出きないです。

どうやら原油価格はまた上昇の兆しを見せていまして、輸送コストも近い将来相当跳ね上がると思いますし今は安い海外の労働力も為替相場の変動なども有っていつまでも現在の水準では無いのですから、国内の工業製品生産を守らないと後になって慌てても後の祭りじゃないでしょうかね?

個人的には下請法の設定範囲をもう少し広げまして、適正な工賃で下請契約が結べるようにする規制が必要では無いでしょうかね?

何時までも輸入に頼ってはいられないと思いますからね。