終身雇用制度の崩壊
日本型経営の象徴とも言える終身雇用の崩壊が指摘されまして既に10年が経過しているのですが、今回のコラムではその事について取り上げて書いて見 ようと思います。
まず日本において終身雇用制度が多くの企業で採用されて定着して上手く機能していたのは幾つかの背景と理由があるのだと思いますが、ま ずはその事から書いて見ようと思います。
■社員の教育に手間とコストがかかっていた。
高度成長期までは今のように機械化も進んでいませんでしたし、IT革命などもずっと後の話でしてどんな職業や仕事でも即戦力として働いて貰う事は難しく、 今よりもずーと仕事を時間をかけて教え込む必要性が高い職場が多かったと思いますね。
それがまあ今ではマニュアル化が進んだとか、機械化が進んだとか別に人手が不足してから採用しても3日もあれば充分につとまる仕事が増 えたのではないでしょうかね?
そうなりますと景気の変動による仕事量の増減とか終身雇用だったら一応毎年ベースアップと言いますか昇給しなくちゃいけないとか、色々 考えると別に終身雇用を維持しても意味がないって事になったのでしょうね。
■右肩上がりの経済
過去において日本経済は基本的には右肩上がりの経験しかないのでありまして、経済危機などで一気に経済が冷え込んでも、結構短期間で右肩上がりの方向に持 ち直していましたので、まあそれだったら終身雇用で社員を確保しておいたほうが、新人さんも入ってくるし会社の規模も拡大していくので良かった訳ですよね 過去はね。
ところがどっこい何時の間にか浮かれていたら、出生率は先進国中最低レベルなんて洒落にならないほど落ちてしまいまして、人口はどんど ん減少していく事が確実で輸出に関しても発展途上国が何時の間にか発展を遂げて日本の産業を脅かし始めていますから、今後は拡大一辺倒から縮小する経済へ の対応も考える必要が出てきてしまった訳ですよね。
そうなってきますと、素早く終身雇用制度に見切りを付けませんと対応できない訳ですよね。
■退職金
かつての日本のサラリーマンのスタイルで定年退職後は年金と退職金でのんびり過ごすってスタイルがあったのですが、儲っていない企業に関してはもう退職金 を払う余力が無くなってしまいましたし、過去最高の社内留保を積み上げている企業に至っては、役員に対する報酬は気前良く出しますが、一般の従業員に対し ては舌を出すのも嫌だって内心では思っているのでは無いかと想像するのですが、とにかく退職金の負担は重荷に感じているようですね。
以上の三点が終身雇用を過去に採用してきた背景と現状だと思うのですが、このような事を考えますともう終身雇用制度の復活は無理なので は無いかと思ってしまいますね。