日銀短観と景況感

日銀短観の発表によると景況感は四半期連続で改善との事ですが、企業を対象にしたアンケート調査による集計ですから契約社員を雇い止めにして人件費を削減したとか、不採算部門や製品から撤退して財務体質を改善して利益が出せる体質に改善したなどの、企業が不景気に対応して行動した結果の景況感と売上や利益率の改善で景況感が上昇したと感じた場合が一緒になって改善との集計ですから労働者には全く実感が無いのではないでしょうか?

なにせ先日の発表では昨年冬のボーナスは過去最低の平均支給額にまで落ち込みまして四十万円を割り込んだって話ですから、日本中のボーナスを貰う労働者の減少分を合算したら膨大な額が労働者にわたらなかったことになりますし、可能性として経営者の中には昨年以上のボーナスを支給出来るだけの収益をあげていながら、周りの状況に乗じてボーナスの支給額を削減するなんてことも絶対に無いとは言い切れないですからね。

もちろん一般に言われているように、まず企業が利益を確保して潤いませんと当然のことながら労働者へは回ってきませんから、今が景気の底だとすればまずはリストラを行った結果だとしてもまずは企業の景況感が改善したことを喜ばなくてはいけないのだと思いますが、これが生産拠点を海外に移した結果で利益が出たとか、国内産業の空洞化につながるような動きによって景況感が改善したのであれば、日本国内の労働者は待っていても何もやってこないって事になってしまいますね。

それにまぁこの手の調査はと言いますか日銀短観の場合は零細企業は調査対象外と思いましたので、日本中に無数に存在する零細企業や個人事業主の景況感は入っていませんし、確か去年だったかトヨタ自動車が下請け企業に対して部品の到達コストを三割削減するって通達を出したと記憶していますが、実際にどのくらい実現するのかわかりませんけど元請け企業が部品の納入コストの削減で利益率の改善に成功する傍らで、多くの部品を納入している下請け企業が利益の確保ができなくなるって構図がある様な気がするのでありまして、それでも日銀短観には景況感は改善って集計が出てきてしまうのではないでしょうかね?

ただまぁ日銀がどんな景況感を発表しようと政治に期待してはいけないし、一喜一憂しないで日々の仕事に取り組んだり改善する以外は誰も助けてはくれないって分かっている経営者しか生き残っていないと思いますから、気にしなければ良いのですけどね。