リストラと退職金が払えない問題

団塊の世代の方たちの大量定年退職なんて話ではなくて、業績不振に陥った企業がリストラして人員整理を行って固定費を削減して何とか縮小均衡で会社を立て直そうと考える事は普通に良くある話だと思いますが、中には積み立てていた原資まで運転資金に回してしまったとか全く退職金を支払う資金が手当出きなくて、リストラもままならないなんて社長さんもいらしゃるようですね。

もちろん会社を退職することによって職を失う人にとっては収入の途が途絶えるわけですから、会社都合によって退職せざるを得ない状況では当然の事として退職金は支給されるものとして考えるでしょう。

実は私が高輪の事務所を畳んで今の事務所に引きこもった2年ほど前にとある会社社長から相談を受けまして、売上不振でピーク時の半分程度まで売上が落ちてしまっていてどうにもこのままでは倒産してしまうので、人員整理を行って会社の存続を図りたいとの事で確か社員数は10名程度のIT関連の企業だったのですが、社員のモチベーションも下がってしまった状態で大変なんだそうでした。

そんなものは会社を倒産させる最悪の事態を避けるためには社員に現状を説明して希望退職に応じて貰うしか無いと思うのでその旨をお答えしたのですが、退職金はおろか30日前に通告して一ヶ月分の給料+退職金を支払う資金的な余裕が全くなくて、困ってしまっているのだそうでした。

それからほどなくしてその会社は残念ながら倒産してしまったのですけど、希望退職を募って退職金を支払って辞めてもらえるだけの体力があるうちにリストラを決断するのは口では簡単ですがいざ実行に移すとなると、そう簡単には出きないのが現実ですよね。

と言いますか別の見方を致しますと残念ながら倒産に至ってしまう会社ってのは、退職金はおろか給料の遅延まで発生させるまで悪戦苦闘を続けてしまって結果として取引先や従業員に多大なる迷惑をかけてしまう場合が殆どではないかと思います。

この辺りは従業員や取引先に倒産によって迷惑をかけないように最後の最後まで頑張ったといえば聞こえは良いのですけど、外から見る評価は全然違ってきてしまいますよね。

冷静に考えればリストラによって人員整理が出来る体力まで無くなってしまう前に人員整理を行ったり、退職金が支払える資金が残っている間に倒産や閉鎖を決意するのが経営者としての決断だと思いますが、実際に当事者になった場合を考えますとやっぱり相当難しいのでしょうね。