攻めの経営と守りの経営

まずその企業ってのは存続させていくって事を基本に考えますとやはり守りをしっかり固めた状態で機会を見て攻めに転ずるってのがあるべき姿だと思っているのですが、この守りてのが非常に難しく、下手すると縮小傾向になってしまったり守っているつもりが様々な方向から侵食されましてジリ貧になっていたなんてことも良く有る話で今回のコラムではそんな事について思うところを書いてみようと思います。

まずその守りの経営ってのは何を守るのかってのが経営者によって違うのではないかと思いますね。

従業員全員の雇用を守りつつ企業の存続を考えるのか、経営者一族の安泰だけを考えて不採算部門はさっさと撤退でもリストラでも行ってしまうのか、またはとにかく新しいことやリスクが少しでも有る事には手を出さないで従来からの仕事を継続するだけなのかなど、守りの経営と一言でいっても様々なパターンがあると思います。

で思うのですが株主重視の姿勢が明確な企業ほど守りの経営といえば、株主や経営陣を守ることを最優先で考えてしまいまして、従業員は簡単にリストラして解雇したり不採算部門を切り離したりの荒業に出る傾向になるように思うのでありまして、もう少し守る守備範囲を広げる必要があるのではないかなって思うこともあります。

それと守りの経営ってのは攻める経営よりも時として困難を伴うのでありまして、扱っている製品や商品やサービスの中にはプロダクトライフサイクル(製品寿命)もありますし、従業員の新陳代謝もありますし、余程のニッチ市場でもない限りライバル企業の存在が有るのでありまして、実際のところは必死に新規顧客開拓を行ったり製品開発を行ったり、従業員のサービス向上に努めたりしてやっと現状を守れるってのが普通ではないでしょうかね?

あと、思う事では必死に現状を守るのが大変なので、新規事業に進出したり甘い予測で生産設備を拡張したり各地に出店など致しまして拡大路線でスケールメリットを狙って積極的に攻めている反面で、守るために必要な努力を行わなかった結果として、内部で崩壊してしまったり主力商品が手薄になって売上を落としてしまったり、積極的な展開で発生した資金需要の借り入れで、資金繰りに行き詰まってしまって倒産してしまうなんてことが結構有るように思います。

そんな訳ですから守りがしっかりしていない企業が攻めに積極的に打って出ても、ブームにのるなどで急成長して成長する事もありますけど、守りをいつかは固めないと崩壊するのが確実ですよって事になるのではないでしょうかね?

一般的に創業社長は攻めの経営は比較的得意で守りに入るととたんに弱くなると言いますか、常に攻めの経営をしていないと脆くも崩れ去ってしまうって感じの人が多いのではないかと思っているのですが今回のコラムでは攻めの経営と守りの経営について書いてみようと思います。

さて攻めの経営が出来ませんと当然のことながら会社を一定規模の安定した状態まで持っていくことは出来ませんから、創業して10年とか経過して中小企業レベルまで発展させた経営者ってのは攻める能力は当然持ち合わせていると思います。

会社経営をやっていますと事業を拡大して人員を増やして株式公開を目指すなんてのは苦労も多いですが、これはもう楽しいのでありますし、経営者たるもの大きな志を持って会社の発展に尽力することは当然の事なので有りますが、市場だって無限に大きいわけでは有りませんし多角化しても経営者の体はひとつしか有りませんし、人員を増やすことは求人広告を出せば出来る事かもしれませんが人材育成となると数年かかる話で、人が増えればそれだけ様々なリスクも増大するのですから、どこかで守りの姿勢を出さなくても良いのかもしれませんが、守りの能力が必要になってくるのではないでしょうか?

時に守りの姿勢ってのは大企業病だとか消極的になったとか、守りの姿勢に入った途端に企業は衰退を始めるとかあまり良くないイメージで語られることが有りますが、私はそうは思いませんね。

なんと言いますか攻めるときに攻めて守らなくてはいけない時には守りを徹底する感じで、事業を拡張出来るときは積極的に拡張すれば良いと思いますが、どうも人材育成が追いついていないなって感じたら暫くは攻めの姿勢に封印を致しまして内部体制の強化を図るとか、時には守りを固めて攻める機会を待つって事がとても大切だと思うのですが、攻める経営一本槍でいつか経営がおかしくなってしまう場合がとても多いのではないでしょうかね?

もちろん攻めの気持をいつも持ち続けているって事は大切ですけど、それと実際の行動は別物だと感じているのでありまして、それが出来ないと会社を継続させることがいつかは難しくなってしまうのではないでしょうかね?

追伸
私自身が現在は守りの体制に入っている時期なので有りまして、攻めに転じられる時期がいつになるのか現時点では予測出来ませんが、アンテナだけはしっかり立てていようと行動しているので有ります。