一億総中流社会

一億総中流社会なる言葉を聞いたのは私が小学生の頃でその後は確か高校生になった頃にはもう聞く事も無くなって、ある意味では死語になってしまった感じがします。

安倍首相が日本を取り戻すなるスローガンを掲げて日本をけん引しているのだか、たんに開国とばかりに市場開放と規制緩和を進めて、日本を壊している売国行為に走っているのか意見が分かれるところですが、そもそも”日本を取り戻す”ってのは誰から(またはどこから)何を取り戻すのか全く不明なのでありまして、少なくとも内容がはっきりしないスローガンで熱狂的に支持する事はいい加減におしまいにしたいものです。

まぁ私自身の採点では財政と金融政策、それに外交関連ではまったくもってまともな政策実行だと思っているのですが、どうも市場原理主義的な考え方に危うさを感じてしまうのですよね。

つまりその安倍首相が何を取り戻すかの話ですけど、正しい政策によって一昔前の一億総中流社会みたいな豊かな日本を取り戻して欲しいのであって、格差社会をつくって日本国としては国力を取り戻しましたなんて事になってほしく無いわけです。

ここでその昔に確かに日本に存在していた総中流社会がどんな感じだったのか回想してみようと思いますが、別に総中流社会といっても厳然たる格差は存在しましたし、金持ちの話はさておいて貧困層とか経済的に恵まれない人もそれなりには存在していましたが、その格差が許容範囲に収まっていた又は若者に限って言えば一応真面目に働けば中流の暮らしを手に入れる事が出来る可能性がありましたからね。

人によっては一億総中流社会なんてものは幻想だなんて言いだして二度と実現は無理なんて言い出すのですけど、別にそれは難しい事じゃなくて、正社員として働く意思があれば個人の能力に応じてそれなりの職場があって、贅沢しなければ食べたいものを一応は食べて、車が欲しければちょっと無理すりゃ車くらい買える状態で大部分の日本人は満ち足りた生活が送れて中流社会を実感出来ちゃうんですからね。

逆に言うと今が酷過ぎるのであって正社員の職に就けない若者の年収なんてものは200万以下の人がたくさんいて、規制緩和とやらでタクシー運転手のみなさんとか、歯医者さんや弁護士に至るまで年収300万円以下のワーキングプアな人が普通に存在しているのですから、これはね今が異常過ぎるのであって、高望も何もこの異常な状態から普通の状態に戻すことだけが希望なんですよね。

ただそのための手段ってのは規制緩和でも構造改革でもなくて、単に世の中が穏やかなインフレ状態になっていて失業率が低い状態にさえなっていれば後は国土強靭化だけやっていてくれれば、他の余計な事はしなくてもかまわないのです。