商売に必要な逃げ足の早さ(泣いて馬謖を斬る)
商売ですとか営業活動はもっぱら攻めること、つまりお客に商品を売り込んだり新規顧客開拓したりもっぱらオフェンス面ばかりにスポットライトがあたりますけど、長く安定した経営を行うためには同じくらい逃げ足の早さも必要ですよね。
例えばどうも機能的にとか内容的に問題がある商品はとっとと販売から手を引いてしまうとか、クレーマーみたいなお客ですとかどうもバックが怪しい企業とか財務状況に問題があるような噂を耳にした取引先との取引を縮小するとか、逃げ足の早さってのは色々な場面やケースで発揮されなくてはいけないものですよね。
営業マンでしたら新規顧客開拓や売り込みなどの攻めに強くて、危ないと思ったら直ぐに撤退できる守りに強い営業マンが理想ですよね。
しかし現実は結構簡単にはいかなかったりするものです。
営業研修というのは多くの会社が所属する営業マンに対して行っていますけど、それらの研修はもっぱら売り込みとか開拓に関するスキルアップが目的で逃げ方とか危険を察知する方法なんてのは代金の回収業務以外では余りやらないですからね。
そういえば昔の経験ですけどずっと長きにわたって販売実績で大変お世話になってきた代理店に経営難つまり資金繰りに窮しているって噂の情報が入ってきたことが有りました。
そこで外部の民間調査会社などを使いましてその会社の経営状態などを調べたらうわさ通りに台所は火の車状態だったようでした。
会社の業務管理を行っている部署としては当然しかるべき処置を現場の営業に求めてくるのでありまして、新たな売掛金の発生は一切認めない事や新規の案件が出てきた時には現金引換えで仕入れてもらうか、またはエンドユーザーに直接自社が行う形にして、代理店に対しては紹介料の計目で利益を支払うとの指示でした。
まぁその申し入れを代理店に行うと同時くらいに代理店は倒産してしまいましたので、面倒な交渉にはならなかった訳ですけど自分の会社がまだ規模も小さく力が無かった頃から大変お世話になっている取引先であればあるほど、さんざんお世話になった挙句に相手の経営が苦しくなったら素早く切り捨てるなんて行為は現場としては非常に心苦しいわけですよ。
この辺りは即座に切り捨てるのか又は恩を返す意味で逆に相手が苦しい時ほどバックアップしてあげるのかなんてのは高度な判断になってしまうので有りますけど、やっぱり自分の会社やその従業員の事を考えたら”泣いて馬謖を斬る”心得も必要なんでしょうね。
ただ商売上の恨みってのも怖いんですよね。