薄利多売の難しさと弊害

デフレがそろそろ底を打ってこれ以上の物価下落では商売にならないところまで行き着いている業界も有るようですが、単に物が動くだけなら薄利多売が一番手っ取り早いのですが、経営とか会社運営の視点で考えますと薄利多売はホントに難しいですよね?

特に労働集約型と言われるコンテンツ作成業ですとか人が動いて作業して料金をお客から頂くような産業形態の場合、商品やサービスを提供するための原価として人件費が大部分を占めていて、仕入原価は限りなくゼロに近いような場合ですと、どしても仕入れが無いだけかえって値下げでお客を呼び戻そうなんて発想に陥りがちだと思いますが、経営的には危険な状態に陥りやすいと思います。

まず商品を仕入れて販売する場合でしたら、販売数量が増えてもかなりの段階まで既存の人員で対応出来るのですけど、労働集約型産業の場合になりますと、基本的には人が作業する以外に利益を生み出す仕組みが有りませんから、直ぐに一人当たりの作業量の上限が来てしまうのでありまして、薄利は簡単に出来ますが多売は難しくて簡単には出来ないって事ですよね。

でね、同じように感じている人も多いと思いますが確か経営コンサルタントですとか、経済評論家などはつい数年前まで口を揃えて付加価値をつけてより高い利益率を目指すような事を言っていたと思いますが、実際には薄利多売に走った業界も多いですし一部には薄利多売で成功した企業を勝ち組などと賞賛する動きも有りますけど、数年後の状況を考えますと薄利多売で勝ち組に定住出来るとは思いません。

この辺りは現場の営業マンが一番理解していると思いますが、例えば飛び込み主体の新規顧客開拓一本槍の営業マンの場合ですと、目標が粗利額の場合ですと販売したい好きな商品ってのは間違いなく粗利が一件で稼げる利幅の大きい商品ですよね?

もちろん高すぎますといまの時代は売れないって事は確かに事実として有りますが、営業マンが新規顧客開拓時にちゃんと商談に入れるまでのハードルの高さは、相当販売商品の金額が違わない限り営業の苦労は全く変わりませんし、販売成功時の手間も全く一緒ですから薄利多売などされましても、特段営業活動が楽になるわけでもなですし手間も変わらないと言いますか、かえって同じだけの粗利益計上の目標達成には、販売数量を増やさなくてはいけませんから、かえって大変になるだけの場合が多いのですよね。

ですからこんな時代になったからこそ、利幅を大きく取れる商売を目指さなくてはいけないのですが、簡単では無いのですよね。